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クラフトビールバー「変心変味」では、マスターがため息をつく客、真由の愚痴を聞いていた。
「残業多いし、フラれるし、やんなっちゃう」
「このグラスを持って下さい。その人の気分で味が変わるビールですよ」
マスターの勧めに、彼女は黄色い液体の入ったグラスに手を添えた。中身を口にして顔をしかめた。
「苦い」「もう一口飲んでみて」
ぐいと飲むと、真由は笑顔になった。
「苦いけどコクがあるわ」
「その人の感情をいい方向へ昇華するんですよ」
近くに座っていた会社社長の三谷は、自分の持っていたグラスを彼女の方へ滑らせた。
「僕のはきっと甘いよ」
受け取った彼女は眉をひそめた。しばらくそのグラスを握り、三谷へ返すと店を出て行った。
三谷はそれを飲んで苦笑いを浮かべた。
「失敗しちゃいましたね」
マスターの言葉に、彼は残りのビールを飲み干して言った。
「いや、酸っぱいけど、これはこれで良いんだ」
「残業多いし、フラれるし、やんなっちゃう」
「このグラスを持って下さい。その人の気分で味が変わるビールですよ」
マスターの勧めに、彼女は黄色い液体の入ったグラスに手を添えた。中身を口にして顔をしかめた。
「苦い」「もう一口飲んでみて」
ぐいと飲むと、真由は笑顔になった。
「苦いけどコクがあるわ」
「その人の感情をいい方向へ昇華するんですよ」
近くに座っていた会社社長の三谷は、自分の持っていたグラスを彼女の方へ滑らせた。
「僕のはきっと甘いよ」
受け取った彼女は眉をひそめた。しばらくそのグラスを握り、三谷へ返すと店を出て行った。
三谷はそれを飲んで苦笑いを浮かべた。
「失敗しちゃいましたね」
マスターの言葉に、彼は残りのビールを飲み干して言った。
「いや、酸っぱいけど、これはこれで良いんだ」
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公開:23/11/18 02:30
クラフトビール
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コンテスト
はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します
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