天国から地獄(真昼の黒い月)

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天国で天使に会った夢を見てハッと目覚めるが、むかつきと気怠さで、またグニャリ横たわる。デジタル時計は6:66。やれやれお前も壊れたか。正確な時刻をとTVをつけると朝のキャスターさえ6時66分を告げる。飲みっぱなした空き缶には、生産者:ウィッチ、メイドイン:ブラックムーン。そういう事か。前祝にと、見たことないクラフトビールに手を伸ばしたばっかりに。何を調合しやがったんだ、魔女め。けれども味はゴキゲン、半ダース飲み切ったのだから。今日はデビュー日だってのに、まずは魔女を探さなきゃだ。カーテンを開けると、南に夕焼けと黒い月。朝でも日常でもないこと、居所も判ったぞ。行き方だけは解らないまま玄関ドアを開けると、風呂のゴム栓を抜いた後の水みたいに、空間が渦巻き、僕はその中にゆっくりと飲み込まれていった。OK、そういう訳でロケットも銀河鉄道も不要か。どうとでもなれ、今日はもう地獄に落ちたって構やしない。
ファンタジー
公開:23/11/17 23:02
更新:23/11/19 20:35

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