黄金海に眠るもの

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自宅玄関の扉は黄金海に繋がっている。
僕は冒険心と好奇心を鞄に詰め込んで、扉を押し開いた。
「やっと来たか。さぁ、早く潜水缶に乗りたまえ」
柑橘臭漂う海上で、僕の帰りを待っていた髭もじゃの彼はヒック缶長。そして、僕達は黄金海に挑む冒険家なのだ。
差し出された手を掴み、ヒック缶長と共に潜水缶に乗り込んだ。ぶくぶくと発砲し、海底を目標にゆっくりと潜水する。
「そろそろだ」
鮭の大群も、アミノ珊瑚のコロニーも姿を消し、暗闇と静寂に包まれた頃、ヒック缶長は窓の外を指差した。
「どうかね、美しかろう」
壮麗だった。潜水缶のライトは海底に沈んだ黒い影を黄金に明かした。
「見つけたぞ、海中遺跡だ」
僕達は感極まり涙を流して、ひっくひっく泣いた。お互いの功績を称えハグを交わすが、夢は幻。
潜水缶を叩く大きな音と、妻の怒鳴り警報音が缶内に響いた。
「なにあんた玄関で寝てるのよ」
「あれ、海中遺跡は?ひっく」
ファンタジー
公開:23/11/18 20:00
更新:23/11/18 20:41
クラフトビールコンテスト

社 真秀

「自分の想う世界観を広げたい、形にしたい」という気持ちを抑えきれず投稿を始めました。
駆け出しですが、少しずつでも伝えられるよう努めますのでどうぞよろしくお願いします。
アドバイス、ご指摘いただけますと幸いです。


 

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