ゴールドラッシュ

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2階のアパートの窓から白くてもこもことした泡が沢山溢れている。
右から数えて3番目の窓、私の部屋だ。
仕事で疲れている私は自分の見間違いかと思い目を擦った。間違いではない。
白い泡はどんどんと溢れて空に向かってふわふわと漂っていく。
洗濯機の故障か?私は慌てて自分の部屋へ走っていった。焦っているため鍵が見つからずイライラする。
鍵を差し込み乱暴にドアを開けベランダに向かって走る。

あの日を境に私は仕事をやめた。

私は無限に湧き上がるクラフトビールの水源を見つけたのだ。このビールは誰おも魅了し、一度飲むとこの味の虜になってしまう。

お店は大繁盛。メーカーから商品化の話もでている。このクラフトビールの水源さえあれば私は無敵だ。

数年後、私のクラフトビールは世界シェアNo. 1となった。

何故皆はこんなにもこのビールを求めるのだろう。

ビールが飲めない私には未だわからない事だ。
公開:23/11/17 21:12

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