本日のおすすめ

0
1

「ビールに餃子って何でこんなに美味いのかねぇ。なぁお姉さん」
「餃子の肉汁の旨味をビールで流し込むことで爽快感を得られるからですね」
淡々と告げた彼女に苦笑したところで、カウンターの奥から調子はずれのギターのような声が飛ぶ。
「ちょっとダンナ、うちの看板娘に絡まないでおくれっていつも言っているじゃない」
「そう言いなさんな。餃子にピルスナーは鉄板だと思っちゃいたが、IPAも合うもんだな。相変わらずおかみさんの目利きは確かだ」
「調子が良いんだから。あたしに色目使っても、うちの子はやらないよ」
おかみさんは赤い顔をしわくちゃにしてカラカラ笑う。それっきり、おでんの仕込みへと戻ってしまった。
汗の浮かぶ横顔を眺めていると、手元に影が差した。
「それで」
お姉さんが耳元に顔を近づけ、桃色の唇で囁く。
「いつになったら、おかみさんに告白するんですか」
そんなの俺が知りたいよ、と苦いビールを傾けた。
恋愛
公開:23/11/14 21:42

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容