この美味さが分からないヤツ

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「お姉ちゃん!私また振られた!私のこの洋服ってやっぱりダメ?」
「個性的で素敵だと思うよ」
なんでそんな格好してるの?っていう彼の嫌そうな顔が思い出される。
「彼はあの子もこの子もやっているかわいいが保証されている洋服が好きだったんだよねぇ」
「確かにそういう服もかわいいし、素敵だね。みんなが着る理由も分かる。でもあんたの個性的な格好だって悪くないよ。そうだねぇ。あんたの失恋を癒すために、このクラフトビールをあげましょうか」
「ビール?私、苦手なんだけど」
「まぁまぁ一口飲んでみ。クラフトビールはね、大量生産では出せない味わいがあるんだよ。量産型じゃないあんたみたいじゃない?すいも甘いも人生の苦さを知り始めたなら、きっと美味しく飲めるよ」
私は半信半疑で受け取ったビールを一口飲む。芳醇な深い苦味と香りが広がる。
美味しい。
なるほど。確かにあんな奴の舌じゃこの美味さは分からないかもなぁ。
その他
公開:23/11/14 19:00

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