ワタナベ工房〜飲み干す快感〜
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慣れた道を通り、摺りガラス付のドアを開けてカウンターへ一直線。
「この名刺、飲んで帰る、あと何かおつまみ」
声をかけられるより早く、畳みかけるようにそう言うと店主はいつものように、おつまみは置いていないんです、と困ったように笑った。
知ってる、と自分も笑って、店主の始めた作業を興味深く見守る。
「何回見ても不思議」
そうこぼせば、何回も、それも頻繁に来るのなんてあなたくらいですよ、と先程より柔らかさの増した微笑みで返事が来る。
名刺の主がいかに気にくわない人物だったかの話が終わらないくらいあっという間に、紙片は美味しそうなクラフトビールに代わってグラスに注がれ差し出された。
「これで今度もしまた一緒に仕事をする機会があったら何の疑いもなくはっきりと、初めましてって言える」
乾杯、グラスを少しあげ、美味しそうに飲み干すのを、店主は微笑ましいような、誇らしいような、面白そうな顔で見ていた。
「この名刺、飲んで帰る、あと何かおつまみ」
声をかけられるより早く、畳みかけるようにそう言うと店主はいつものように、おつまみは置いていないんです、と困ったように笑った。
知ってる、と自分も笑って、店主の始めた作業を興味深く見守る。
「何回見ても不思議」
そうこぼせば、何回も、それも頻繁に来るのなんてあなたくらいですよ、と先程より柔らかさの増した微笑みで返事が来る。
名刺の主がいかに気にくわない人物だったかの話が終わらないくらいあっという間に、紙片は美味しそうなクラフトビールに代わってグラスに注がれ差し出された。
「これで今度もしまた一緒に仕事をする機会があったら何の疑いもなくはっきりと、初めましてって言える」
乾杯、グラスを少しあげ、美味しそうに飲み干すのを、店主は微笑ましいような、誇らしいような、面白そうな顔で見ていた。
SF
公開:23/11/13 21:02
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