ハモりキャンディー

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もうすぐ中学最後の合唱コンクール。
1年の時とは異なり、卒業の文字がチラつくようになった今は「こうして皆と声を合わせて歌うのも最後」という想いが強くなって、練習にも熱が入った。
元より歌がそれ程上手じゃない私は、放課後のクラス練習後も音楽室に残り自主練をしている。課題は、ソプラノにつられないようにすること。アルトに振り分けられたのだが、いつもソプラノにつられて音を外してしまうのだ。
私はポケットから音符の描かれた包み紙のキャンディーを取り出し舐め始める。そして、歌い出したくなるような甘さのキャンディーが口から消えると「あ~♪」と声を出した。私から、ソプラノとアルトの声が同時に奏でられる。これは「ハモりキャンディー」。同時に2つのパートを半分ずつ歌えるようにしてくれるから、一人で合唱の練習をする時にピッタリだ。
ふ~っと大きく息を吐くと、揺れる夕日を指揮者にして、私はハーモニーを響かせた。
青春
公開:23/11/13 17:37
更新:25/05/27 17:45

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました!

ショートショートも感想も自分の「今、これ好き」を一番大切にしつつ、気まぐれに書いていこうかなぁと思います。
あとシンプルにとても気分屋です(⁠◔⁠⁠◔⁠)

よろしくお願いします〜

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