酒みくじ

　自販機で缶ビールを買うと、おみくじらしきものがついて来た。
　封を剥がして開いてみると、「小吉」と書かれているのが見えた。
　下には「二日酔いに注意すべし」だとか「美味い酒は慌てず待て」といった酒に関わる項目がズラリと並んでいる。
　面白いおみくじだなと思いながら読んでいると、最後の行に「酒の夢見」という項目があった。「悪夢に注意すべし」とのこと。
　新年早々悪夢は見たくないなと思いながら、おみくじを財布にしまって、宿屋へ戻った。
　その夜、私は確かに悪夢を見た。
　酒の海に落ちて溺れ死にそうになっている夢だった。鼻や口に容赦なく酒が入る。これはもうダメだと思ったところで目が覚めた。
　朝の光が差し込む客室には、飲んだ覚えのない酒の匂いが、微かに漂っていた。
　その後、財布の中を探してみたのだが、例のおみくじを見つけることはできなかった。