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仕事帰り、彼女は急にビールを飲みたくなった。行く店のあてもなく歩いていると、変わった名前の小さなバーがあった。店の名は、イナイイナイバー。
狭い店内に先客は2人。カウンターに座り、
「オススメのクラフトビールとか、あります?」
と聞いても、マスターは、
「お好きなものを」
と答えるだけ。愛想も商売っ気もない。ビールメニューのカタカナを見ても、さっぱりわからないので、とりあえず一番上のハングリー・ビアを注文した。
マスターが、無言でビールの入ったグラスをカウンターに置いた。クリーミーな泡立ちの、美味しそうなビールだ。香りもいい。が、口をつけた瞬間、強い力でグラスに吸い込まれた。頭、上半身、そして足のつま先まで。彼女の全身は、空腹を極めたハングリーなビールの餌食になっていった。
マスターは表情も変えず、グラスを片付けた。二人いたはずのテーブル席の客もすでにいなくなっていた。
狭い店内に先客は2人。カウンターに座り、
「オススメのクラフトビールとか、あります?」
と聞いても、マスターは、
「お好きなものを」
と答えるだけ。愛想も商売っ気もない。ビールメニューのカタカナを見ても、さっぱりわからないので、とりあえず一番上のハングリー・ビアを注文した。
マスターが、無言でビールの入ったグラスをカウンターに置いた。クリーミーな泡立ちの、美味しそうなビールだ。香りもいい。が、口をつけた瞬間、強い力でグラスに吸い込まれた。頭、上半身、そして足のつま先まで。彼女の全身は、空腹を極めたハングリーなビールの餌食になっていった。
マスターは表情も変えず、グラスを片付けた。二人いたはずのテーブル席の客もすでにいなくなっていた。
ホラー
公開:23/11/15 22:32
2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。
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