うそ発見器

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「ただいま」

そう言って家に帰ってきた彼の口から今日もキラッと光るものが落ちて私の足元に転がった。
よく見るとそれは、透明なピンク色の宝石の欠片。

発した言葉が宝石の欠片に変わるという珍しい能力を持つ彼はよく、「これが原因でよく揶揄われたし、いろいろ不便」って嫌そうな顔で言っているけど、私は彼のこの能力が結構好きだ。なぜなら宝石の透明度で彼の言葉が真実かどうかを判断できるから。体調悪そうなくせに「大丈夫」って言ったときの宝石の色はよく見ると9割方濁っているし、「眠くない」って言い張るときの宝石も毎回濁っている。この能力のおかげで私は彼の異変にいち早く気づけるのだ。
これは彼も知らない、彼が吐く宝石を何年も観察してきた私だけが知る秘密である。

いつもの「こんな能力いらない」っていうのが嘘なのも私は知っている。なぜなら、そう言った後にこぼれ落ちるのはいつも濁った空色をした宝石だから。
ファンタジー
公開:23/11/15 13:32
#宝石

肩幅広重( 限界集落 )

閲覧ありがとうございます。
初の試み

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