素敵な出会い

6
4

「あなたが湖に落としたのは、普通のビールですか? それともクラフトビールですか?」
突然、僕のビールを両手に持った神様…のような人物が湖の中から現れた。
「いや、落としたんじゃなくて、冷やしてたんですけど…」
「え!? そうだったの!?」
神様は目を見開き、「ゴメンちゃい」と舌を出して、僕にビールを差し出した。
「あの、よろしければ一緒に飲みませんか?」
「いやいや、ひとりキャンプのお邪魔をするつもりは…」
「気にしないでください。ビールは一人より二人の方が、美味しさ倍増ですから」
「では、お言葉に甘えてクラフト…いや、普通のビールを頂きます」
僕がクーラーボックスからクラフトビールを一本取り出して「はい」と手渡すと、神様は「いやぁ、面目ない…」と白髪頭をかいた。
「素敵な出会いに乾杯!」

――あとで願い事、かなえてもらおうっと。

ビールをぐびぐび飲む神様を見ながら、僕はニヤついた。
その他
公開:23/11/15 05:06
更新:23/11/15 11:12
ビール 神様 願い事

トガシテツヤ( 北海道 )

(以前のアカウントが操作不能になってしまったので再掲です)
茨城県つくば市出身、北海道オホーツク在住。
小説、エッセイ、朗読用台本の執筆、ショートドラマのシナリオライター、Webライターなど。
主にnoteで小説やショートショートを執筆しています。

note → https://note.com/t_design04

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容