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42歳男性。今朝から気分が悪く食欲がないという患者に、前をはだけるよう伝えたがもじもじしている。再度お願いすると、患者は「実はへそが」と言う。
「へそが、どうしました?」
「背中にあるんです」
患者の真剣な口調に、わたしは笑いをこらえるのに必死になり、少しオナラが出た。患者は力なく笑った。
「で、恥ずかしくて。でもお伝えしたので大丈夫です。お願いします」
とシャツをたくしあげた。わたしは看護師と腹を見た。へそは、あるべき場所にあった。
「ちゃんとあ……」
と言いかけたわたしを看護師が目で制して、耳打ちしてきた。
「わたしも背中にあるんです」
「なんだと!」(小声)
わたしは看護師を給湯室へ連れ込み、服をめくった。へそは腹にあった。
「なんのつもりだ」
と詰め寄ると、看護師は深々と頭を下げた。
「ですから、医師として寄り添ってあげてください」
「お、おう」
長い一日が始まった。
「へそが、どうしました?」
「背中にあるんです」
患者の真剣な口調に、わたしは笑いをこらえるのに必死になり、少しオナラが出た。患者は力なく笑った。
「で、恥ずかしくて。でもお伝えしたので大丈夫です。お願いします」
とシャツをたくしあげた。わたしは看護師と腹を見た。へそは、あるべき場所にあった。
「ちゃんとあ……」
と言いかけたわたしを看護師が目で制して、耳打ちしてきた。
「わたしも背中にあるんです」
「なんだと!」(小声)
わたしは看護師を給湯室へ連れ込み、服をめくった。へそは腹にあった。
「なんのつもりだ」
と詰め寄ると、看護師は深々と頭を下げた。
「ですから、医師として寄り添ってあげてください」
「お、おう」
長い一日が始まった。
ファンタジー
公開:23/11/11 09:14
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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