正義の黄金が潜みし夜に

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「ほっほっほっ、お主も悪よのぅ」

悪代官が笑うのは、慎ましやかに日々を暮らす、善良な民の眠る夜。闇に潜みし正義の影は、鋭い瞳で悪を貫く。

「酔い覚ましの時だ…」

「何奴!?」

「麦芽流忍者・黄金丸!民を苦しめ、己の欲に泥酔する…哀れな者を正しに見参!」

黄金丸から放たれたるは麦酒裏剣!なんとも哀れ、悪代官。強欲に酔いたる千鳥足では、正義の光をかわせない!麦酒裏剣はまっすぐに、悪代官の口の中!ごくりと飲み込む悪代官。見開く瞳に映りたるは、黄金に輝く月だった。


「弥助、怪我をしたと聞く。どれ、儂が代わろう、休んでおれ!」

民の幸福が己の幸福。そこにいたのは、民と汗を流す善良なお代官。

「お代官様、あんなに悪いお人だったのに…。今では美酒を飲んだ時みたいに、いつもご機嫌!不思議ね、金さん」

金さんと呼ばれた旅人は、ふっと笑うと、首を傾げる女子の御髪に、黄金の麦を優しく刺した。
ファンタジー
公開:23/11/10 23:08
更新:23/11/11 08:19
クラフトビール 麦酒裏剣が闇を切り裂く!

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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