鞠遊び

1
2

 旅先での初詣となった。訪れた神社には、たくさんの鞠が落ちていた。
 赤に青、黄に緑、白に黒。真冬の太陽の光に照らされて、どれもキラキラと輝いている。
 子どもたちは鞠を指さして騒いでいる。中には、鞠を拾ってその場でポンポンとついている子どももいた。
 周りの大人も神社の人も、鞠のことは特に気にしていないようだった。中には、子どもと一緒に鞠をついている人もいる。
 初詣の行列は遅々として進まず、私は暇つぶしに鞠の数を数えてみた。自分の番が来るまでに、ザッと二百くらいは数えただろうか。
 神様に願うだけお願いごとをした帰り、あれだけあった鞠が、全て消えていた。
 思わず神社の巫女さんに鞠のことを尋ねてみたら、柔和な笑みを浮かべて、もう神様のお帰りの時間ですからとだけ言われた。
 あの鞠自体が神様だったのだと、その時になってようやく気がついた。
ファンタジー
公開:23/11/13 06:59

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容