豆をひく雪だるま

分厚いレンズの眼鏡をかけて、額には【合格】の二文字が大きくプリントされた白いハチマキ。勉強机の前で、雪だるまが受験勉強に勤しんでいる。ものすごい集中力と闘志のせいか、クールボディなはずの雪だるまからは湯気が出ており、熱気で溶けた雪が汗みたいにツーっと頬をつたう。ノートの上を俊敏に滑っていく鉛筆は、氷上のアイススケーターのようだ。

(１)こまめ―豆＝こ
(２)サンマーメン―豆＝サンーン
(３)めんま―豆＝ん

彼がひたすら解いているのは、雪だるま界では必須の「豆引き算」。こうして色々な単語から「まめ」を引き、引いた「まめ」から「豆」を作り出して、ちびっこ雪だるまへ命を吹き込む際に可愛い「おめめ」として使うのだ。

「夜遅くまで頑張ってるわね。お夜食よ♪」

息子を気遣う優しいお母さん雪だるまの持ってきたポカポカ雑炊には、海苔を型抜いて作った【合格】の文字。マメなお母さんだなぁ。