生まれの違い

ほんの少しの生まれの違いだけで、旅行ができないなんて不公平だ。おれはいつもの場所で、ぼやき続けた。
似たような生まれの仲間たちは、これみよがしに地球上の隅々まで飛び回る。ときおり戻ってきては、おれに盛大なる自慢話をしていく。
ローマのコロッセオは偉大だとか、クフ王のピラミッドの壮大さは忘れられないとか、アマゾン川の川下りは最高だったとか、もう悔しくてたまらない。
なかには海中探検をする変わり種もいるが、そいつらも自慢するためだけにおれのところにやってくる。
なんであいつらは好き勝手に旅行ができるのに、おれはここで待ち続けなければならないのか。ほんの少しの生まれの違いなのに。
たまたまこのおれが、地縛霊として生まれてしまったばかりに。