わらしべ旅
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『わらしべ旅』は旅行者参加型のリアリティ旅番組だ。
世界各地を旅する参加希望者から選出された2組の行き先を入れ替え、物々ならぬ旅程交換で地球一周を目指す。
組み合わせ次第では、海パン一丁でエベレスト登頂、ダイバースーツで砂漠を踏破などというキラーカードが発生し、参加者の頭を大いに悩ませる。そうしたミスマッチからの成り上がりも『わらしべ旅』の名物なのだ。
「やれやれ困りましたな」
「やむを得ぬ。船で陸へは上がれまい」
まんざらでもなさげに目尻を下げた恵比寿の肩を、大黒天が打出の小槌で叩く。
「たまには足を使わんと、これ以上肥えても困るしの」
荷袋を担いだ布袋が太鼓腹を揺らして笑えば、弁財天がベンと琵琶をかき鳴らして調子を合わせ、毘沙門天と福禄寿、寿老人が後に続く。
揃いの草鞋履きで一里塚に並ぶ七福神の眼前で、葛飾北斎の宝船が『The Great Wave』をチューブライディングして行った。
世界各地を旅する参加希望者から選出された2組の行き先を入れ替え、物々ならぬ旅程交換で地球一周を目指す。
組み合わせ次第では、海パン一丁でエベレスト登頂、ダイバースーツで砂漠を踏破などというキラーカードが発生し、参加者の頭を大いに悩ませる。そうしたミスマッチからの成り上がりも『わらしべ旅』の名物なのだ。
「やれやれ困りましたな」
「やむを得ぬ。船で陸へは上がれまい」
まんざらでもなさげに目尻を下げた恵比寿の肩を、大黒天が打出の小槌で叩く。
「たまには足を使わんと、これ以上肥えても困るしの」
荷袋を担いだ布袋が太鼓腹を揺らして笑えば、弁財天がベンと琵琶をかき鳴らして調子を合わせ、毘沙門天と福禄寿、寿老人が後に続く。
揃いの草鞋履きで一里塚に並ぶ七福神の眼前で、葛飾北斎の宝船が『The Great Wave』をチューブライディングして行った。
ファンタジー
公開:23/03/14 17:55
プチコン
旅
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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