タッチペン

自分をタッチペンで押すと、自分の能力が引き出せるようになった。頭を押すと頭が冴えて、いいアイデアが浮かび適切な応答ができるようになる。
体についても同様だった。体の痛い部分を押せば体が回復する。医者もほとんど要らないくらいだった。
ツボ押しは素人には分かりにくいし効果も限定的だが、このタッチペンは全ての人に効果があったのでみんな買い持ち歩いた。
だが困った問題も起きてきた。みんなが自分の能力を最大限に発揮できるようになってきたため、家庭に縛られたくないという人が増えてきたのだ。
今までは困った時に頼ったり、自分に足りない面を補ってくれるのが家族の理想像としてあったが、自分で何でもできるのだから家族なんて要らないじゃんと離婚したり家出したり独身を貫く人ばかりになった。
これはいかんと政府の命でペンに性欲増進、見栄増進のエキスを入れた。みんな子を作り子を他の子より勝たせようとする普通に戻った。