砂丘廷画家

私は砂の都で丘廷画家をやっております。
得意分野はサンドアート。旅する芸術と呼ばれ、世界中で高い評価を受けております。
何故そう呼ばれているのかって？私の作品は風が吹けば飛んで行ってしまうものだからです。
この砂丘に吹く風が、私の描いた作品をどこかへと連れて行きます。
それは遠い国だったり、すぐ近くの都市だったりします。
洞窟を潜り地下奥深くに行ったかと思えば、エベレストのような高い山に行ったりもします。
先日は紛争中の国へ行き、兵士達の目と心を奪ったと聞きます。画家冥利に尽きますね。
風の向くまま気の向くまま。展示期間は次の風が吹くまで。
そうして世界中を回るものだから、旅する芸術と呼ばれております。
作品は修復を求め、定期的に私の下に帰ってきます。
その際、「絵を売ってくれ」とよく言われます。
残念ながら、この絵は値段が付けられないのですよ。
枠にはまらない芸術故、額は必要ないのです。