タイムリープ

おれはタイムリープができるようになった。天使から望めばできるようになると勧められたのだ。
それは願ってもないことだった。おれやおれの友人たちは血の気が多く、所属する暴走族同士での諍いが絶えなかった。それで死者や重症者が出たり人生を狂わす人も多かったので、そういう不毛な争いを止めさせようと思ったのだ。
試行錯誤を繰り返して、何とか和解が成立した。死者も重症者も一人も出すことはなく、みんな真っ当な仕事に就くことができた。おれ自身も幼馴染と結婚し幸せな家庭を築くことができた。
だがおれにタイムリープの能力を授けた天使が多少気になることを言った。この世のことはみんな法則で成り立っているのよ。あなたたちが幸せになることによって、本来は幸せに過ごしていた人たちが随分運命が変わって不幸になった人たちも多いのよと言われた。
そんなことはどうでもよかった。おれには素晴らしい友や家族がいる。それだけで充分だ。