こだわり
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声優をしている。
アニメで烏の役をすることになり、役作りのため、いつもベランダに来る烏に声をかけた。
「一週間、密着取材をさせてくれないか?」
烏は快く応じてくれた。
朝7時50分。窓を叩く音がする。ベランダで烏が待っていた。命じられるがまま、軍手とレジ袋を持ち、烏の後を追う。ゴミ集積所に寄っては、指示通りに壊れたキーホルダーや割れたガラスなどを集めた。
一通り集め終わると、烏は言った。
「それ、フリマで売っといて。俺は日焼けサロンに行ってくるから」
彼は、濡羽色を保つため、週に一度日焼けサロンに通っている。そして丹念にオイルを塗り、艶を出す。それらには金が必要なので、ゴミ漁りをしてフリマで売っている。
そんなことをしているのは烏の中でも彼だけらしい。
「他の奴らは、ただの黒と濡羽色の区別もつかないしね」
鼻で笑いながら「俺、前世はアニメの色指定担当だったんだ」と呟いた。
アニメで烏の役をすることになり、役作りのため、いつもベランダに来る烏に声をかけた。
「一週間、密着取材をさせてくれないか?」
烏は快く応じてくれた。
朝7時50分。窓を叩く音がする。ベランダで烏が待っていた。命じられるがまま、軍手とレジ袋を持ち、烏の後を追う。ゴミ集積所に寄っては、指示通りに壊れたキーホルダーや割れたガラスなどを集めた。
一通り集め終わると、烏は言った。
「それ、フリマで売っといて。俺は日焼けサロンに行ってくるから」
彼は、濡羽色を保つため、週に一度日焼けサロンに通っている。そして丹念にオイルを塗り、艶を出す。それらには金が必要なので、ゴミ漁りをしてフリマで売っている。
そんなことをしているのは烏の中でも彼だけらしい。
「他の奴らは、ただの黒と濡羽色の区別もつかないしね」
鼻で笑いながら「俺、前世はアニメの色指定担当だったんだ」と呟いた。
その他
公開:23/03/12 15:09
文章を書くのが大好きです。
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