本のアロマ

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楽器メーカーのハマヤでは、音楽以外にもいろんな“お部屋のための”商品を開発している。
企画部の次郎君は、新商品の説明を始めた。

「これはアロマ・リードディフューザーですが、この“リード”は「読む」という意味です。ふつうは、わらとかスティックという意味ですが」
「ふうん、使い方は?」 聞き手は部長だ。
「まず、アロマの原液を水で薄めて、その中に古本を入れます」
「古本??」
「すると、活字の間から、本の作者の経験や、以前の古本の持ち主の気持ちなどがしみ出して、古本の“うま味”が出ます」

「はぁ、それで?」
「それにスティックを浸して、アロマとして使います。するとお部屋に、いろんな人の体験や気分の雰囲気が漂います」

「つまり、リード(読む)をするわけか」
「はい。でも時には、作者が書いた時の苦しみや、読んだ人の悲しい気持ちなどが出てくることがあります。お取り扱いには、注意してくださいね」
ファンタジー
公開:23/03/12 11:34
ハマヤ アロマ

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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