砂埃

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鳥取県には砂丘と言って、我々の仲間が大勢集まっている場所がある。7歳のとき、父が教えてくれた。皆、15歳になったら元服の儀式として、一人で砂丘に行くのだと。

15歳になった。両親と相談して、春一番に乗って一気に北上し、砂丘を目指すことにした。ちょうど、中国からおじさんがやってくる時期でもある。会えるといいな。おじさん、お土産持ってきてくれるかな。月餅がいいけど、重たいから難しいかな。

幼馴染で一歳年上の砂吉は、昨年砂丘デビューを果たした。
「行きは春一番に乗って行けばいいから楽だけど、帰りが大変だぞ。なかなか具合のいい風が吹かなくて、一生砂丘に居るのかと思った」
それでも、なんとか風を捉え、じわじわと移動して無事に帰ってきた。
「ま、あちこち寄り道ができて、それはそれで楽しかったけどな」

天気予報を確認する。「明日は強い南風が吹くでしょう」

かくして、砂丘を目指し、今日も砂は舞う。
その他
公開:23/03/13 21:16

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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