恋

山で道に迷っていると一軒の廃屋を見つけた。少しここで休ませてもらおう…
中に入ると荷物を下ろし一息つく。目の前に髪の長い女が浮いていた。
幽霊だ！と、驚き慌てて外に出るも何かにぶつかり、尻もちをつく。
恐る恐る顔を上げる。そこにいたのは一頭の熊だった。
言葉を失う。熊を見つめたまま、ゆっくりと後ろに下がる。
だが後ろには幽霊…そうだ！幽霊はどうしている！？
ゆっくり振り返ると死んだふりをした幽霊の姿。
「熊に死んだふりをしても無駄ですよ！」
思わず叫んでしまった。
僕の大声にびくりとする幽霊＆熊。これはチャンスだ！
「幽霊さん！熊は自分より大きく、大きな音を出すものを怖がります！僕と一緒に威嚇して下さい！」
幽霊は頷くと私の肩に乗り、金切り声を上げた。僕もそれに合わせる。
僕らに驚いた熊は山へと戻って行く。
その後の僕らはというと一緒に危機を乗り越えた高揚感からちょっといい雰囲気になった。