トラウマ返し

子どもへの虐待が後を絶たないので、見かねた魔法使いが子どもが念じればトラとウマを呼び出せるようにした。
子どもが親にひどいことをされたと感じ助けてくれと願うと、ウマが親を蹴り倒しトラが親を食い殺すという魔法を全ての子が使えるようにした。
だが一時的に虐待から解放されても、その後の人生は大変だった。親戚と同居しても親を殺した残忍な子どもと、白眼視され冷遇された。
施設に入ったまだマシだと希望する子は多かったが、職員からも距離を置かれた。それに成人したら出て行かなくてはならないため、それからの人生設計がかなりの労苦だった。
魔法使いに親を殺すといった魔法ではなく改心させるといった穏便な魔法に変更できないかと皆がお願いしても、一度かけた魔法は安易に変更できない虐待をしなければいいだろうと開き直られた。
そして殺されては敵わないと子どもを作らない親ばかりになり、ますます少子化の世の中になった。