謎の工場

誰も従業員が出入りするのを見たことがない工場があった。しかし稼働はしているようだ。製品はどんどん作られていく。
トラックの運転手は出入りする。しかし工場で働く人の顔は誰も見たことがないと言う。製品の出し入れや伝票や書類の手続きは、所定の場所に置いておけばいつの間にかやってくれていると言う。
ではロボットや機械が働いているのかといえば、確かに機械は使っているがロボットがいる形跡はない。
しかしその町で誰もその工場で働いている人も、その工場で働く人の知人もいないと言う。その工場は国を代表する工場というわけでもないが、町にとってなくても困らない工場というわけでもない。
ゾンビや幽霊が働いているのではないかとの説も出されたが、そのような禍々しい雰囲気もなかった。役所も関連会社も取り引きがあるだけで実態は誰も知らなかった。
別に害があるわけでもないし関連会社も助かっているから今のままでいいとなった。