映画館でのとある出来事

今日の課外学習、生徒達は４DXを体験できると期待に胸を弾ませている。
今日見る映画の内容を私達は生徒に伝えていない。
ただ「途中退室OK。最後まで見なくていい」とだけ伝えている。
生徒達はつまらない映画であろうと４DXを楽しみにしている。その期待を、私達は今からぶち壊す。

映画が始まる。巨大スクリーンに映し出されるは１２年前の３月１１日。
地震、そして襲い来る津波の映像。
悲鳴を上げる生徒がいた。口を押さえ、劇場を出る生徒がいた。それでいい。
今見せている映像は命の危険にかかわるもの。逃げる、という選択は正しい。
私は気を失った生徒がいないか、動けない生徒がいないかを確認する。
そうした生徒を助け出す事も、この課外学習の目的だ。

映画が終わる。生徒全員が憔悴しきっていた。
保護者には先に説明しているもののクレームは覚悟の上。
これは課外学習。トラウマになろうとも命を守る為の学びである。