恋

僕が恋した女性は悪の秘密結社の幹部でした。
彼女は僕の店の常連で一杯の珈琲で何時間も居座ります。
大丈夫。お客の多い店ではありません。彼女と過ごせる幸せを僕は感じています。
彼女はいつも難しい顔をして企画を練っています。世界征服作戦書はこれで一体いくつ目でしょう？
聞けば彼女、失敗した作戦書は小説のネタに使っているとの事。彼女が僕の憧れの作家だと知ったのはこの時です。より好きになってしまいました。
僕は彼女との時間を大切にしたい。だからこそ、店に踏み込もうとする正義の味方の入店を断固拒否しています。
僕にとって怖いのは正義の味方でも、町が破壊される事でもありません。彼女と会えなくなる事が一番怖いです。だから僕は彼女と、彼女が愛するこの場所を絶対に守ってみせる！
そんな僕を見て、彼女は言いました。
「マスターって、怪人じゃなくて変人ね」
変人か…いつか貴方の恋人へと変身できるよう頑張ります！