一反木綿で出来たドレス

普段は地味でとろくさいと言われる私だが、ドレスを着ると一変する。
私のドレスは一反木綿で出来ている。これを着ると私は空も飛べる。体が軽くなる。
ボディラインは一反木綿がぎゅっと締め上げてくれるからメリハリがついている。一反木綿が動きをサポートしてくれるからダンスや作法もお手のもの。
普段料理なんてしない私だけど、一反木綿のエプロンドレスを装備すると何だって作れる。一反木綿が私の腕を操作し、料理を作ってくれる。
買物に出かければ必要なものだけを購入する。余計なものを買おうとすれば動きを止められてしまう。無理矢理手に取ったところで、財布の紐を固く締められてしまえば支払いが出来ない。
一反木綿のドレスは私に自由を許さない。不自由だけど安定した生活を約束してくれる。
息のつまる生活はきっと私の首を一反木綿が締め付けているからだろう。
今では堪忍袋の緒まで管理され、感情すらも自由に出せないでいる。