出世街道

冒険の途中で迷ったらしく、先程から妙なものが道を歩いている。
路肩を一歩ずつ前進するのは斜めに慣れないト金だ。中央分離線に横たわる白黒茶の三毛色に染まった柔道帯。吹き流しの登竜門を遡る鯉のぼりに混じって、ブリを目指すツバス・ハマチ・フクラギが列をなす。なるほどこれが噂の出世街道か。

天下を狙う戦国武将、プリマに憧れるバレリーナ、希望だらけの将来の夢作文。各々上昇志向と功名心でギラギラしている。道半ばの挫折や折れた鼻っ柱、日向ぼっこの窓際族など障害物も転がっているが、それらに足を掬われ、つまづき、紆余曲折を経るごとに、皆大きく強くなっていく。

赤帯のレッドカーペットでト金が王手を決め、竜のぼりと大漁旗のブリが空を泳ぐ。戦の勝鬨をＢＧＭにプリマがアラベスクを踊り、作文を飛び出した夢が大河ドラマを描き出す。

僕も負けてられないな。
ＬＶ１の勇者の剣を振りかざし、魔王の城目がけて駆け出した。