出産報告

「ねぇ見て。私達の子どもよ」
見知らぬ女が赤子を連れ、俺の家を訪れた。
『あの…人違いですよ』
苦笑いを浮かべる俺に女は首を横に振る。
「いいえ、人違いじゃないわ。この子は私とあなたの子どもよ。その証拠にほら、DNA鑑定にもはっきりとあなたが父親だって出ているわ」
『何をバカな…俺はあんたを知らないし、関係を持った事もない。何かの間違いだ』
俺の答えに女は笑う。
「ええそうね。私はあなたと肉体関係になってないわ。そもそもこうして話すのも初めてよ」
『じゃあ、やっぱり…』
「でも私、あなたの事を思うと愛が止まらないの！その愛がね、私のお腹に奇跡を運んでくれたの！私、あなたへの思いだけで妊娠したの！」
『…狂ってる。妄言ならよそでやってくれ』
「でね、私じゃこの子を産めないから代理出産してもらったの。想像妊娠でも代理出産してもらえるなんて素敵よね」
ゾッとする俺。
女は笑う。とても幸せそうに。