手を描く彼女
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職場で彼女の後ろを通る時、僕は見てしまった。
彼女は沢山の“手”を描いていたのだ。手首から先、様々な表情をした手が、メモ書きの上に並んでいた。
真面目な彼女が、仕事の合間に絵を描いているとは思わなかった。
僕の視線に気付いた後、さりげなくメモ書きを腕の下にしまったあたり、きっとバレたくはなかったのだろう。
仕事に支障があるわけでもないので、僕は彼女のメモ書きについては誰にも言わなかった。
その代わりと言っては何だが、僕が彼女の席の後ろを通る時は必ず目がメモ書きを追ってしまうようになった。
人差し指を突きつける右手。布をつまむ左手。指を組み祈るような両手。小指と小指を結んでいる2つの手。
何故それ程までに手を描いているのか?
最初こそ気になったが、今となってはどうでもいい。
僕は今日も彼女の後ろの席を選んで通る。
不可思議な彼女は、今日も手を描いているのだ。
彼女は沢山の“手”を描いていたのだ。手首から先、様々な表情をした手が、メモ書きの上に並んでいた。
真面目な彼女が、仕事の合間に絵を描いているとは思わなかった。
僕の視線に気付いた後、さりげなくメモ書きを腕の下にしまったあたり、きっとバレたくはなかったのだろう。
仕事に支障があるわけでもないので、僕は彼女のメモ書きについては誰にも言わなかった。
その代わりと言っては何だが、僕が彼女の席の後ろを通る時は必ず目がメモ書きを追ってしまうようになった。
人差し指を突きつける右手。布をつまむ左手。指を組み祈るような両手。小指と小指を結んでいる2つの手。
何故それ程までに手を描いているのか?
最初こそ気になったが、今となってはどうでもいい。
僕は今日も彼女の後ろの席を選んで通る。
不可思議な彼女は、今日も手を描いているのだ。
公開:23/03/04 10:23
更新:23/03/04 10:24
更新:23/03/04 10:24
ミステリー
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