感動ポルノ
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他の小学校から赴任してきた大木という女教師は四年生の担任となった。教室に入ると生徒が、いろいろ話しかけてくる。このクラスの田中という生徒は全然喋らないと言う。とりあえず生徒全員に自己紹介をしてもらった。
「田中です。趣味は読書です。よろしくお願いします」
ふむ、やはり田中という名か。覚えたぞ。全員の自己紹介が済むと、田中くんのように四年生にもなって喋らない子がいるなんてびっくりしたと大木は言った。
それからは田中に自信をつけさせようと、クラブ活動で自己紹介したことをクラス会で取り上げ、喋れたなんてすごいわよくやったとみんなで拍手をした。しかし彼は全然嬉しそうではなかった。
実は田中は三年生の時に割と喋るようになっており、四年生になったらもっと喋るぞと意気込んでいた折に先生や生徒たちに変な誤解をされただけだったのである。
先生や生徒たちの自己満足の、感動ポルノとして利用されたのが田中だった。
「田中です。趣味は読書です。よろしくお願いします」
ふむ、やはり田中という名か。覚えたぞ。全員の自己紹介が済むと、田中くんのように四年生にもなって喋らない子がいるなんてびっくりしたと大木は言った。
それからは田中に自信をつけさせようと、クラブ活動で自己紹介したことをクラス会で取り上げ、喋れたなんてすごいわよくやったとみんなで拍手をした。しかし彼は全然嬉しそうではなかった。
実は田中は三年生の時に割と喋るようになっており、四年生になったらもっと喋るぞと意気込んでいた折に先生や生徒たちに変な誤解をされただけだったのである。
先生や生徒たちの自己満足の、感動ポルノとして利用されたのが田中だった。
青春
公開:23/03/05 22:02
少し変わった、ブラックな話が好きです。
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