新海路録

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僕の人生は広大な海にプカプカ浮かぶいかだのようだった。
自分がやりたい事なんて何もわからない。なんとなく大学に進学し、取り敢えず就職し、いつか誰かと結婚するのだろうと、波に流されるまま考えていた。

そして失敗した。無為に生きていた男の日常は完膚なきまでに崩壊したのだ。
いかだは嵐に飲まれ完全にバラバラになり、僕は板にしがみついてかろうじで生きてきた。

でも何もかも失って気づいたことがあった。そう、思っていた以上に世界は温かく、色々なものがあったということに。

そして僕は筆を執った。幼い頃、本を読む事も書くことも好きだったことを思い出した。やりたくても好きなことをやる暇なんてどこにもないと、そう封じ込めていた心の声にようやく気づけた。

もう僕の手には何もない。現実も見なければいけない。ただ同時に、夢を追いかけたっていいんじゃないだろうか。
僕は浮かぶ、海の中に
僕は拓く、新しい海を
青春
公開:23/03/01 15:55

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