草食系男子に教えられたこと

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私にはお気に入りのBarがある。
「おかえりなさい」
草食系男子のバーテンが、柔らかな表情でほほえむ。
『おまかせで』
野菜棚に向き合うと、彼は慣れた手つきで野菜を選び、素早くカットした。
よく冷えたシェーカーにそれらを入れ、野菜棚の隣の扉を開く。たくさんの瓶に色とりどりの液体。ドレッシングルームだ。
迷いなく選ぶと、彼は小気味よくシェーカーを振る。 
カクテルグラスにバースプーンを使って、丁寧に盛りつける。
「コールスローです」
『いただきます』
シャキシャキ感の残った野菜の甘さを、酸味のあるドレッシングが包み込む。
このBarを初めて訪れた夜、私は彼にこう教えられた。
「お疲れですね。メインの仕事も大切ですが、箸休めも必要です。前菜もよく味わって下さいね」
あの日、食べたお新香は泣けるほどに染みた。
『じゃあ、また』
「いってらっしゃい」
このサラダBarを、私は度々おかわりしている。
その他
公開:23/02/28 22:09
毎週ショートショートnote 草食系男子に教えられたこと

そるとばたあ( 神奈川 )

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