吸赤鬼の仕事

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うちの店の青果担当は吸赤鬼だ。吸血鬼ではなく吸赤鬼。血の代わりに赤色を吸うのだ。彼が吸った赤色の物は白く変化するがなんと味、形、食感などは吸う前と何一つ変わらない。俺は、この奇妙な特性を活かすために彼を青果担当にした。青果担当といっても…主に苺担当だ。彼の仕事は実に単純。入荷した苺の赤色を全て吸い付くしたら、「幻の白苺、限定入荷!」などと謳い、客を集めるだけ。馬鹿な客達が無駄に高いだけの普通の苺に群がる横でこっちは大儲け!彼がいれば、うちの店は安泰だろうと俺は確信していた。…今朝までは。出勤して最初に俺の目に入ったのは白い林檎だ。次に白いパプリカ、白いケチャップ、そして雪山みたいな精肉コーナー…。誰の仕業かすぐ理解した。俺は、これはどういうことだと吸赤鬼を問い詰めた。すると彼は平然とした態度で返した。
「苺だけ吸うのも飽きましたし…あと、ついでにこの店地味だし「赤抜け」させようと思って…」
その他
公開:23/02/28 06:19

板里カエ( 静岡 )

いたりかえです。空想と創造の毎日です。

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