旅は筆連れ

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旅をするのに支度は要らぬ、鉛筆一本あればいい。

サイコロードに道シルペンを転がし、今夜のねぐらを決める。
芯の向きと出た目で進む双六旅。筆の向くまま記の向くまま、コロりと一本転がせば、虹のたもとに月の道、夢の続きも旅して行ける。

さあてどこへ止まろうか。えいやと放った道シルペンがコロりコロコロ転がって、世界の端でチョンと跳ね、ルー列島のマス島に落ちた。
旅は筆連れ鉛(えん)次第、たまにはバクチ街道もいいだろう。球乗りしながらマスからマスへ、道シルペンを追い賭ける。

当たるも発見、当たらぬも発見。ある日マス目と出た目がぴったり揃い、ルー列島が大当たりを噴いた。
流れた数字の波に乗り、コロコロ舞い戻るサイコロード。一回休みで立ち止まり、丸くちびた芯を撫でつつ振り返ると、遠路はるばる転がし続けた鉛筆ルート。

旅は筆連れ鉛結び。旅路の果てにどんな地上絵を描いたかは、アガリが出てのお楽しみ。
ファンタジー
公開:23/03/03 11:36
プチコン

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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