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仕事をクビになった。上司のミスを押し付けられた。卑怯な立ち回りだけは上手な、ズル賢い上司にしてやられた。
「クソッ……」
入社して五年。真面目に一生懸命働いてきたつもりだ。悔しい。大雨の中、ズブ濡れになりながらアパートの部屋へと帰っていた。
「みゃあ……」
猫の声が聞こえた。僕は声のした方に向かって歩いていくと、段ボールの中に入った子猫がいた。
「お前、捨てられたのか。そっか。可哀想にな。俺も会社に捨てられたんだ。まあお前に言っても分からないだろうけどな」
気づけば僕は子猫をアパートに連れて帰っていた。
「名前をつけてやる。みゃあって鳴くから、お前はみやだ」
里親を探した。ネットの掲示板に募集を書くとすぐに見つかった。そしてみやを引き渡した。飼い主は小さな工場を経営している社長さんだった。僕はその縁で工場で働くことになった。みや、お前も俺を心配してくれたんだな。ありがとう。
公開:23/02/25 10:28

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
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