初雪が愛おしい

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壊れてゆく想いをどこにぶつければ良いのだろう。私にとってこの恋は、今まで生きてきた中で一番本気になった恋だった。これ以上、誰かを好きになれる自信なんてない。本気の恋愛だった。
涙を流しながら寒い夜の道を歩いていく。過ごしてきた日々を思い出しながら、一歩ずつ歩いていた。
今年は雪が降らなかった。温暖気候が続いていた。でも今日の寒波は、雪が降ってもおかしくない気候だ。ハァと手に向かって息を吹きかける。
白いものが空から落ちてきた。
「……ほんとに降ってきた」
少し歩みを早める。早く家に帰ろう。
もう二度と彼と会う事はない。喧嘩の後に雪に振られるとは、本当に散々だ。悪いのは彼だ。喧嘩の原因は、些細なことだったけど私は悪くない。
家に着くと、彼が雪まみれで待っていた。
「遅いな……。おかげで雪だらけだ」
「何よ」
「そういや俺達が出会ったのも、こんな初雪の日だったな。……ごめんな」
公開:23/02/25 10:13

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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