霧絵作家

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よく切り絵作家と間違えられるけれど、唯一無二の「霧絵作家」だ。
紙の不要な部分を切り抜いて絵を描くのが切り絵だが、霧絵は霧を絵の具のようにして絵を描く。
霧は気まぐれで自由な性格なので「猫絵」とも呼んでいる。腕を磨き画力を上げていかないと霧は絵に収まらず、まさに霧のごとく消え去ってしまう。ただ、霧の扱いに慣れてくれば、霧は最高の芸術を生みだし、愛おしい存在になるんだ。
それで、今回栄誉ある賞をいただいたこの作品のタイトルも砂上の楼閣ならぬ『霧上の楼閣』とした。あれだけ間違えられて嫌いだった切り絵も楼閣の部分に取り入れ、霧絵とコラボさせてみた。
登山が趣味で、一年中霧が立ち込める高原の村を偶然訪れたときに霧の魅力に引き込まれ、霧をアートと考えるきっかけになった。それ以来、霧絵と相性のいい、この村の霧だけを使っている。
ただ、問題があって、最近は気候変動のせいか村の霧が薄くなってきているんだ。
その他
公開:23/02/25 07:02
切り絵 作家 芸術 砂上の楼閣 登山 高原 アート

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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