卒業写真

「こらああ！！太田ぁああ！！卒業式までに髪を黒に戻してこいよ！！」
「うっせーよ！！なんだよ、髪の色なんて人の自由だろ」
「校則だ。ルールは守れ。それからなんだ、その不細工な服装は。シャツはきちんとインしろ」
「ああ？シャツのインなんてだせえよ。おっさんじゃねえかよ」
「いいから入れろ」
「おい、何すんだよ」
こんなやりとりも残り数日。卒業すると俺は就職する。お前は社会人になったら苦労するぞと言われる。結局、担任の遠藤には、怒られっぱなしだ。
「くそ。遠藤の野郎。ぜってー泣かす。見てろ」
だから俺は卒業式の前日まで、精一杯反抗した。そして卒業式当日。
俺は髪を黒く染め直していった。
「おーい、太田ぁああああ！」
「げっ、遠藤。何だよ、最後の一日まで」
「待て、逃げるな。お前、髪染め直したんだな。一緒に写真撮ろう」
嫌々、写真を撮った。
「卒業おめでとう」
俺はその言葉で泣いてしまった。