自まん

「今日のプレゼンも良かったぞ」
休憩室で一仕事終えた後輩を労う。
「あがり症で頼りなかったお前が堂々とプレゼンが出来るなんて、一体どんな手品を使ったんだ？」
成長を喜びながらも冗談の混じった問いかけ。
後輩は『これですよ』と肉まんのようなものを見せてきた。
『これ、”自まん”って言って食べると体の奥から熱いものがこみ上げてくるんです。自慢したくてたまらなくなるんです。僕は今回の企画、かなり自信がありました。自まんを食べてその熱い思いをプレゼンで披露しただけですよ』
「へ～、面白いな。俺も一つもらっていいか？」
『はい、どうぞ。食べる前に必ず温めて下さいね。冷たいままだと効果はありません。あと自まんは自信のあるものに対してしかその熱量を発揮できません。先輩は自まんを使って何をプレゼンするつもりなんですか？』
「近く娘の小学校受験があってな。自慢の娘を面接官にたっぷりプレゼンしてやろうと思う」