骨董店で

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外はまだ雪景色、骨董店主は日本の物を長く売ってきたが、残った江戸時代の盃が売れれば、今度は新しく西洋古美術を扱おうと考えていた。盃を手で回しながら店主は春になればヨーロッパに行き今まで勉強してきた洋物を仕入れてこようと、独り言を言っていた。それを盃は黙って聞いていた。
盃はこの店で何十年も過ごしており、いつか違う場所に行きたいなと思っていた。あんなに沢山居た仲間達は、今は何処にいるのだろうか。
盃の私だっていつか店から出られると思っていたのに、今は一人ぼっちになってしまった。店主の言うヨーロッパってどんなところだろう、仲間の誰かもそこに居るのかな、行ってみたいな。
客が手にする度に私は、ドキドキしてここから連れ出してくれると思っていたのに。

その時だ、外で雪を払いながら一人の青い眼をした金髪の女性が店に入って来るや、凄い
私の探していた盃がここにあったわ、店主も盃も嬉しくなってしまった。
ファンタジー
公開:23/02/26 10:29

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