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休日の午後。青木さんは、ふと子供の頃を思い出していた。
「あの頃は夏休みがあって良かったなぁ。まあ宿題は嫌だったけど」
すると目の前に、一匹の小鬼が出てきて言った。「一生ずっと夏休み気分で居させてあげるよ」
「本当かい」
「ああ。そのかわり、“決まり”や“締め切り”に追われた時に頑張る“エネルギー”を、僕にくれるかい?」
「いいよ、やろう」
小鬼はうなずいて、パッと消えた。
さて、それからの日々。
青木さんの暮らしは、義務もなく課題もなく、気楽になった。
何かに追われて、必死の思いをすることもない。
その代わり、彼の人生はいつでも「8月31日」の気持ちになった。
「夏休み」というのはふだんの“休まない毎日”があっての考え方。休みでない日々が見える時、一番強く「夏休み」を感じる。
青木さんは、明日になると登校日だ、という、重苦しい気持ちのまま、ずっと過ごすことになってしまった。
「あの頃は夏休みがあって良かったなぁ。まあ宿題は嫌だったけど」
すると目の前に、一匹の小鬼が出てきて言った。「一生ずっと夏休み気分で居させてあげるよ」
「本当かい」
「ああ。そのかわり、“決まり”や“締め切り”に追われた時に頑張る“エネルギー”を、僕にくれるかい?」
「いいよ、やろう」
小鬼はうなずいて、パッと消えた。
さて、それからの日々。
青木さんの暮らしは、義務もなく課題もなく、気楽になった。
何かに追われて、必死の思いをすることもない。
その代わり、彼の人生はいつでも「8月31日」の気持ちになった。
「夏休み」というのはふだんの“休まない毎日”があっての考え方。休みでない日々が見える時、一番強く「夏休み」を感じる。
青木さんは、明日になると登校日だ、という、重苦しい気持ちのまま、ずっと過ごすことになってしまった。
ファンタジー
公開:23/02/26 10:28
雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。
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