適材適所

「大統領、素晴らしいAIが開発されました。人間の遺伝子と経歴をAI鑑定すると、100％、人間の才能が分かるのです。」
「それは素晴らしい。では具体的に我が国にとってどう有効なのかね？」
大統領は身を乗り出して聞いた。
「まず有能な人物を適材適所配置できます。そればかりか無能と思われている人物も、AI鑑定により100％才能を発揮できる場所を導き出せるのです」
秘書官は胸を張る。
「なるほど、では我が国全ての国民が才能を100％発揮できるということか」
「そうです、大統領」

大統領は劣勢にある隣国との経済戦争に考えを巡らした。
このAI鑑定があれば隣国との戦いを巻き返せるかもしれない。

「わかった、至急すべての国民にAIが導き出した職業に就くように法律を作り、即時実行したまえ」
「わかりました、大統領」
秘書官は足早にその場を去る。

5年後、AIによるクーデターは簡単に成功した。