恋

「私は決してモテないわけではありません。恋泥棒に恋を盗まれてしまい、恋が出来ない体になってしまったのです。これは言わば「失恋」」
そう彼女は言った。
「それで被害総額は？」と私が聞くと彼女は「これはお金の問題ではありません」ときっぱり答えた。
「そうですか、残念です。折角、失恋した場合に貰える補償金について教えてあげようと思ったのですが」
「えっ、お金が貰えるの？」
彼女の目の色が変わった。
「いや～、残念です。お金に興味が無いのであればこんな話をしても仕方ないですな」
私がそう言うと彼女は「別に興味はないけどあなたの話を聞いてあげても良いよ」と素知らぬ顔で言った。
私は「まず、この補償金を貰うに当たり弁護士が法的処理をするために手続き金100万円が必要です。これは正当な失恋だと国に認められた場合に返還されます。補償金は失恋のランクによって変わり、最大で1億円まで出ます」と彼女を騙した。