絆と傷名

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「ねえ、その傷は?」
隣で裸で寝ている女に聞かれる。
「これか。この傷だけには名前がある」
「えっ?傷に名前があるの?どんな名前?」
「荒木」
「ふふっ、何それ」
この傷も随分と古くなった。かつて俺が闇に落ちた友達を救うときに負った傷だ。
「おい、葛城!こっちこいよ!」
名前は荒木。どこにでもいそうな普通の中学生だった。そしてあいつは、そんな俺を無理矢理仲間に引き入れた。
「いいじゃん!行こうぜ!」
それからは、色んな所で喧嘩の毎日だった。俺達は最強でどこまででもいける気がした。だが荒木は、ある時に怪しい薬の売買に手を出した。それだけは、やっちゃいけないことだった。組織は荒木を手放さなかった。優秀な奴だった。だから俺は、たった一人で奴らのアジトに殴り込みに行った。あいつを取り戻した時、あいつは泣きながら言ったよ。
「なんでお前、そこまでって」
だからな、こう言った。
「友達だからだ」
公開:23/02/20 09:18

富本アキユ( 日本 )

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Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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