オリエンタルムーン

東洋には魔女が住んでいる。彼女に聞けば何でも知りたいことを教えてくれるらしい。
「魔女か……」
この話に、さすがの高杉も興味を持ったようだ。
「西洋の魔女と日本のそれとはだいぶ違うようだが」
「それは俺にもわからん。しかしまあ、その女に会ってみるしかないだろう」
「うむ……」
「どうした？」
「いや、なんでもない」
高杉はそう言ったものの、どこか浮かない顔をしていた。
「なんだ？ 何かあるなら言ってくれ」
「…………」
高杉はしばらく黙っていたが、やがてぽつりと言った。
「実はな……俺は一度、その魔女と会ったことがあるのだ」
「何だと！？」
俺は驚いた。まさかそんなことが？
「いつだ！ どこで会ったんだ！」
思わず大声を出してしまった。
「落ち着け。まだ江戸にいたころの話だ」
「江戸？お前、江戸って何なんだよ。どういうことだよ。お前は一体……」
「俺は過去の人間で魔女によって未来に来た」