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「募恋をお願いします。恵まれない男女達のために少しでも良いので恋の募恋にご協力をお願いします」

街を歩いているとどこかのボランティア団体所属であろう若い男女達が叫んでいた。私は「ああ、もうこんな季節か」と手に白い息を吐きながら思った。
街頭に立つ男女はさらに訴える。

「世界には発展途上国が存在します。その国では何万と言う人々が飢餓死しています。その者たちは恋に飢えているのです。
 それに対し、博愛国ではまだ持続可能な恋を「もう飽きた」と言う理由で大量廃棄しているのが現状です。それならばその恋、私達に譲ってもらえないでしょうか。ほんのわずかの恋であろうとそれで救われるものが少なからずいます。どうか援助をお願いします」

それを聞き終わった私は彼らに近付きこう言った。
「少しで悪いけどこれ使って下さい」
私は隣にいた彼女を彼等に差し出した。
「決して君を捨てた訳ではない。彼等に託すのだ」
公開:23/02/19 21:48

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